ドラマ「パパ活」が地上波放送決定|パパ活がさらに浸透すること間違いなし
「パパ活」というドラマはインターネット限定で公開されたドラマです。その為、少女たちの貧困を軸に社会的テーマをより深く投影しています。
これまで、作者の野島伸司さんは民放にて、「高校教師」ではレイプや近親相姦を描き、「家なき子」では少女の言葉「同情するなら金をくれ!」というインパクトの強いセリフを作ってきました。多くは、ドラマとして取り上げにくかったタブーであるテーマをドラマ化しています。そして今回も期待を裏切らないストーリー展開があり、視聴者をワクワクさせています。
その上に、後半でのドラマ展開では民放ではこれまで中年と女子大生の結末は「別れ」となるドラマが多かったのですが、今回は異なってきています。それは今回のテーマである「女はいつ大人の女になるのか」ということに尽きると思います。
物語について少し説明します。※ネタばれあり
主人公の赤間杏里〈20〉の家庭は母子家庭であり、大きな夢もなく、淡々と生活する大学生になる。ある日、自宅に母親に若い恋人ができ、自宅を出ていかねばならなくなる。友人たちに相談しても誰も助けてくれなかった。そしてインターネットカフェから大学に通うことになる。しかし、アルバイトをしても賃貸すら借りる状況にもならず、友人の誘いもあり、「パパ活」というアルバイトにとうとう身を投じる。
そこで会ったのが、栗山航〈45〉であった。栗山は気前よく、マンションの一室を対価なく、提供する。その後、杏里の大学の教授として赴任してくると、そこからドラマが杏里と栗山を中心にドラマが展開していくことになる。
栗山は妻の栗山菜摘〈44〉とは娘を失くしたことをきっかけに、気持ちも離れていたが離婚だけはせずに生きて来た。その上、亡くなった娘の父親は入江芳樹〈44〉であることも知りながらも。
妻に愛されているのか、理解できなくなっていた栗山。杏里と会うたびに徐々に自分の気持ちがもう後戻りできないほど、妻を愛していないことに気付いていく。そして同時に無邪気な杏里の心に自分の傷を癒やしていく。
しかし、栗山が杏里に興味を持ったのは、杏里が亡くなった娘と同じ年齢であったことだった。しかし、会うたびに、杏里の無邪気さに心を惹かれ、とうとう恋に落ちる。
栗山は杏里にフランス語で「貴方がいないと生きていけない」という言葉を残して、去って行く。その意味を知った杏里は空港に向かって栗山を追いかける。そして日本語で「貴方がいないと生きていけない」と抱き合うのである。
ドラマは現在の人々が抱える孤独感や社会問題をも反映しつつ、フランス文学のように、女性についての洞察が素晴らしく、その印象も強いといえます。女性は子供を産めば母性を持つとは限らない。そして本当の恋は大人の女になると自立を決めたときになれるものであると主張しているのかもしれません。
主人公の杏里は、それなりに努力して大学に入ったが、栗山に会う間ではフランス文学を専攻しているがフランス語も話せないような学生です。しかし、その栗山との恋によって、栗山の亡くなった娘の気持ちや、妻の気持ちを理解しようとする様は、人と人の関係、他人へ関わっていくという「大人の女性」へ、妻よりも相手の立場を客観的に考えることができるようになっていく。そこが今回のテーマなのですが……
民放で公開すれば、「パパ活」という単語も今よりもっと流行語となり、安易に「セックスをしないで金儲けができるアルバイト」として一部の少女はパパ活をしたいと思うかもしれません。(ドラマ「パパ活」とは違った本当にリアルなパパ活)
しかし、すこし冷めた現在の少女たちは、「パパ活がアルバイトの代わりである」と思うのでしょうか?ドラマ「パパ活」が放送されることによって、現代の女性に様々な影響をもたらすことは間違いありません。